ファウスト
ゲーテ著
カラマーゾフの兄弟を読んでいたら、巻末解説でゲーテのファウストとのかかわりについて書かれていた。
それが謎を示唆しながら明かしてくれていなかったために、やむを得ず実際に読むことにしてみた。
この物語は2部構成で、1部は小宇宙を、2部は大宇宙を表しているという。
今回は集英社の池内訳で読んだ。
新訳で読みやすいという記事を読んだからだ。
しかし、シェイクスピアもそうだがシナリオ形式はなれていないためかやけに読みづらく感じる。
情景描写が少ない分すらっと読めると言えなくもないが、そういう意味では携帯小説になれた若者向き?
あらすじとしては・・・。
天上界で神とメフィストが会話をしている。
神はファウストをわがしもべと言う。
メフィストは自分が誘惑してみせると言うと、神の許可を得る。
これまで楽しみもなかったとなげくファウスト。
そこに現れ、自分と契約すればお望みの物をさしあげようと誘惑するメフィスト。
ファウストは「とまれ、時間よおまえは美しい」ということがあれば、自分の魂を引き渡すことを約束する。
魔女の薬を飲んで若返り、別人になるファウスト。
そしてそこにある鏡にうつされる絶世の美女に目を奪われる。
そのくらいの女ならどこにでもいるさと先を促すメフィスト。
そして言葉通りファウストはマルガレーテの純粋さに一目ぼれをする。
あの子をものにしたいと言うファウストの命によって、策略をしかけるメフィスト。
マルガレーテのもとに通うファウスト。
これが兄の知るところとなり、行きがかりでこの兄を殺してしまう。
第一部のラストでは身ごもった子供を殺して気がおかしくなったマルガレーテをどうにか救えないかとメフィストにいうところで終わる。
この展開は設定の違いはあるが、手塚治虫のネオファウストに限りなく近い。
メフィストが女になっている点やバイオテクノロジーの話とからませてあるあたりが、別の面白さを作り出しているところはさすが手塚治虫。
ところで第二部。
これはあらすじを説明するのが難しい。
というか内容らしい内容がないように思われる。
解説によればファウストが精霊に心の傷をいやしてもらうところからはじまっているらしい。
ファウストの弟子のワーグナーがホムンクルスという人工の人間をつくりだす。
まだ体がなく、試験管の中で光り輝く存在の彼に導かれてファウストとメフィストは再び冒険にでる。
だが、そのあとの荒唐無稽な展開。
解説からすると、ことによればすべてはファウストの夢なのかもしれないとある。
読んだことはないが、ドグラマグラと同じようなことだろうか。
最後にこういうことがおこったらとまれ時間よ美しいと言おうと言っているにも関わらず、メフィストにとうとう言ったなと魂をとられそうになる。
読み方が違うのかもしれないが、「え?まだ言ってないんじゃないの?」と思ってしまった。
ところで最後の最後に抜け出た魂は天使に横取りされる。
そしてその天使はかつてマルガレーテだったもの。
第二部が現実の話として、美女ヘレナにいれあげていたファウストの魂を救いにマルガレーテの魂がやってくるというのも何か解せない。
手塚治虫が初期に書いた「ファウスト」ではヘレネをつれに行く場面なども巧妙にもりこまれている。
ただ第二部が混ざったことで、なんだか面白くないものになっているような気もする。
これに比べれば二番目に書かれた「百物語」の方が面白い。
この中のメフィストもやはり女。
ファウスト(厳密には違う名前の主人公だが)を好きになってしまったために、最後に悪魔のおきてをやぶって魂を解き放つメフィスト。
ロボットなのに人間を好きになってしまった火の鳥のオルガにもつながるものがある。
第二部に関しては、読み終わったもののなんとも読んだ気分がいまいちな感じだった。